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日本経済新聞社説「麻生首相は公務員改革を後退させるな」

日本経済新聞社説 麻生首相は公務員改革を後退させるな(1/17)

 麻生内閣の下で公務員制度改革が後退するのではないかとの懸念が強まっている。自民党行政改革推進本部の公務員制度改革委員会(石原伸晃委員長)が政府の方針に異を唱え、天下りに関する政令の再検討を求める方針を決めたのが、その象徴的な出来事である。

 政府は昨年末に閣議決定した「職員の退職管理に関する政令」で、国家公務員OBが公益法人などへの再就職を繰り返す「渡り」のあっせんを容認する規定を盛り込んだ。しかし公務員制度改革委員会の議論では、官僚OBが「渡り」を繰り返して多額の退職金をもらうことなどに批判が集中した。

 政府は「渡り」が認められるのは「極めて例外的」(河村建夫官房長官)として、見直しには応じない考えだ。だが「渡り」は有権者の理解を得られまい。抜け道になりかねない規定はそもそも不要であり、撤回するのが筋である。

 安倍内閣で成立した改正国家公務員法では、各省庁があっせんしている天下りを廃止して、官民人材交流センターがその役割を担うことに改めた。経過期間の3年間は、首相の委任を受けた再就職等監視委員会の承認を条件に、各省庁のあっせんを認めることになっていた。

 官民人材交流センター構想に反対した民主党が、監視委員会の委員の国会同意人事を認めず、監視委が立ち上げられなくなったため、迷走が始まる。政府は苦肉の策で、退職管理に関する政令で、監視委が発足するまでの間は首相が権限を行使すると読み替えた。民主党はこの読み替え自体を批判している。

 「渡り」容認の規定は、霞が関がこの機に乗じて盛り込ませたものだ。公務員制度改革委は重要な政令を党にはからずに閣議決定した手続きも問題視している。「渡り」の規定の是非を政府内で真剣に検討した形跡がないのは深刻な事態である。首相の求心力が低下し、霞が関にあなどられているようにみえる。

 自民党を離党した渡辺喜美元行政改革担当相は江田憲司衆院議員とともに記者会見し、「脱官僚」や「地域主権」などを掲げた政策集団を設立すると発表した。渡辺氏は自民党にいたころから「渡り」のあっせんを全面禁止するよう求めていた。

 次期衆院選で民主党は天下りの禁止を掲げる方針で、公務員制度改革は大きな争点になる。首相は2011年度からの消費税の増税を訴える考えだが、その前提として行財政改革の徹底は不可欠だ。公務員制度改革への強い決意を示す必要がある。


首相、一転腰砕け 公務員改革『渡り』例外容認(東京新聞)

 官僚OBが天下りを繰り返す「渡り」のあっせんを禁止する方針を打ち出した麻生首相が九日、例外として承認する場合があることを認めた。公務員制度改革に積極的な姿勢をみせるはずが、結局は「官僚答弁」から脱することはできなかった。

 首相は八日の衆院予算委員会で、渡りのあっせんについて「原則廃止の方向だ」と強調した。それが一転、九日の予算委では、企業などから「国際機関での勤務経験が極めて豊富」などの条件で引き合いがあった場合は、例外的に承認することも「あり得る」との認識を示した。

 昨年末施行の改正国家公務員法は、天下りあっせんを官民人材交流センターに一元化し、渡りを含む省庁のあっせんを禁止した。

 議論を呼んでいるのは、三年間の移行期間中の対応だ。同法は経過措置として、渡りを含む省庁あっせんを認めている。昨年末に公布された「職員の退職管理に関する政令」は同法より踏み込んで、移行期間中でも渡りを原則禁止にしたものの「必要不可欠の場合」には容認する例外規定が盛り込まれた。

 野党は、例外規定の削除を要求。首相は公布したばかりの政令の改正に踏み切れず、逆に官僚の振り付け通り「必要不可欠の場合」の具体例を説明。かえって改革に後ろ向きな印象を与えてしまった。 (佐藤圭)

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