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首相、宣言なき政策転換 政権の命取りにも

首相、『財政』から『景気』へ 宣言なき政策転換 政権の命取りにも(東京新聞)

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 景気の悪化を受け、財政再建路線を棚上げし、積極財政へ事実上、転換した麻生太郎首相。しかし、首相自身はこれを決して認めようとしない。財政か景気かの議論は歴代政権を悩ませ続け、橋本政権では命取りになった。国民に十分な説明のないまま、政策転換を図る麻生首相は橋本政権と同じ道をたどりかねない。 (吉田昌平)

 首相の方針は、歳出削減枠は守りながら、別枠で社会保障や公共事業を上積みするやり方。首相は「景気対策と財政再建は、別に両立しないわけでも何でもありませんから」と自信を示す。

 首相の発言は橋本龍太郎首相を思い出させる。政権末期の一九九八年一月、橋本首相は「経済や金融情勢に応じ、必要な手を打つことは当然。これは財政構造改革に反するとは考えていない」と発言。前年に発生した金融危機に対応するため、財政構造改革のトーンを弱め、景気と財政を両立させる考えを表明した。

 橋本首相は、財政構造改革法で個別歳出ごとに上限を設定する一方、景気対策で二兆円規模の特別減税なども実施。ただ、政策転換は認めず、当時は「アナウンスなき政策転換」と指摘された。結局、同年夏の参院選直前、一時は否定的だった恒久減税の導入を明言。政策的ブレが国民の批判を浴び、参院選で惨敗し、退陣した。

 その後の小渕政権は初閣議で「財政構造改革法は当面凍結する」との首相談話を決定し、積極財政へ。そして、支持率も上向いていった。しかし、この結果、財政赤字は急増。三十七兆円を超える一九九九年度の国債発行額は今も史上最高だ。

 麻生首相が政策転換を明言しないのは、小渕政権以降に膨れあがった財政赤字に原因がある。二〇〇二年度予算で小泉純一郎首相が「従来型の景気回復策は取らない」として、財政健全化路線を徹底したが、国債残高は結局増えた。こうした状況の中、麻生首相としては積極財政への政策転換を宣言することに自信が持ちきれないでいる。

 しかも、税収だけ考えれば、〇八年度は〇二年度よりはましなため、このタイミングで積極財政に向かうことは、理解されにくい面もある。

 党内には構造改革の堅持を主張する声はなお強く、こうした党内情勢も首相の立場を危うくすることになっている。(肩書は当時)

海外メディア、トヨタ取材に続々「黒字でもリストラ?」

海外メディア、トヨタ取材に続々「黒字でもリストラ?」(朝日新聞)

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担当職員ら(手前)を取材する韓国のテレビ局MBCのプロデュ
ーサーら=11月19日、愛知県豊田市役所、前田写す


 海外のメディアが、「トヨタ・ショック」の取材攻勢を強めている。トヨタ自動車の減産がその足元の経済や雇用にどんな影響を与えているのかを探ろうと、秋以降、韓国や欧州各国の記者が相次いで愛知県を訪れた。背景にあるのは、世界のトヨタへの関心の高さだ。

 韓国のテレビ局MBCの取材チームは11月18~22日、愛知県入りした。テーマは「トヨタ・ショック」だ。同県豊田市役所を訪れ、担当者に「ダメージは」「雇用や失業対策は」などと質問。期間従業員や下請けの派遣社員らを追跡取材し、職業安定所やエコノミストらから雇用や経済情勢などを聞き取った。

 プロデューサー、崔炳崙(チェ・ピョンユン)さんは「大幅減益と言っても、まだ赤字でもないのに、なぜトヨタは雇用を減らすのか、その姿勢や背景を知りたかった」と語る。

 取材を終えた崔さんは「このような人員整理をされたら韓国では労働者は怒って行動するが、日本では派遣社員も期間従業員も経営者側に理解を示しているのが不思議だった」と話した。

 県内の労働組合にも海外メディアの取材が相次ぐ。

 「全トヨタ労働組合」(若月忠夫委員長)には同17日、オランダの新聞「VOLKSKRANT」紙の記者が訪れた。記者は「期間満了で雇用延長されないことを期間従業員の家族はどう受け止めているか」「組合は会社とどのような交渉をしているか」などを聞いた。10月にはフランスのニュース通信社・AFPも取材に訪れた。

 名古屋ふれあいユニオンにも11月中旬、AFPの東京特派員から電話取材があった。同ユニオンの酒井徹・運営委員長は「海外メディアからの取材は初めて」と驚く。

 イタリアのテレビ局・SKYTG24のピオ・デミリア極東特派員は「トヨタは、富士山と同じで、日本の象徴。合理化を進めたトヨタの売り上げがなぜ落ちたのか、興味がある。私も名古屋に取材に行こうと思い、企画を考えている」と話している。

 海外メディアの取材攻勢について、日興シティグループ証券アナリストの松島憲之さんは「大減産したトヨタの足元の愛知県は、世界の注目の地域。世界最強の自動車会社になろうとしているトヨタが、どうしてここまで短期的に急速に悪化したのか、関心があるのだろう」と分析している。(前田基行)

派遣切るな」2千人 怒りと不安、東京・日比谷

派遣切るな」2千人 怒りと不安、東京・日比谷(朝日新聞)2008年12月4日

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「派遣社員はモノじゃない」。契約を打ち切られた非正社員ら
が集会で抗議の声を上げた=4日夜、東京都千代田区の日
比谷野外音楽堂、遠藤真梨撮影


 世界不況のあおりを受けて、非正社員らを減らす勢いが加速している。相次ぐ「派遣切り」に、不安を抱える労働者からは、対策を求める大合唱が起きている。

 4日夜、東京・日比谷野外音楽堂は、2千人の非正社員や労働組合の関係者らで埋まった。怒りと不安が満ちていた。

 「僕たちにも2009年を迎えさせて下さい」「寮から追い出さないで下さい」「どうかホームレスにしないで」

 壇上にのぼった派遣社員の叫びが、会場に響き渡る。「厳冬のなか、数十万人が放り出されようとしている」。日本労働弁護団の棗(なつめ)一郎弁護士も訴えた。

 発言者のうち1人は50代。神奈川県内の自動車関連工場で働いていた。「暇になってきたのでダメですね」。10月31日、派遣会社の営業担当者から突然、契約打ち切りを宣告された。会社が借り上げているアパートは今月16日までに出なければならない。「年末年始をしのぐため必死で仕事を探しているが、見つからない。こんな切り方をされるとは思ってもみなかった」

 自動車、電機、工作機械……。製造業を中心に非正社員の大規模な削減が相次ぐ。その数は厚生労働省が把握しているだけでも来年3月までに約3万人。日ごとに増える。

 減産を理由に期間従業員や派遣社員ら440人が契約打ち切りを通告されたいすゞ自動車栃木工場(栃木県大平町)では、期間従業員の松本浩利さん(46)らが労組を結成。4日午前、同僚らと解雇の撤回などを同社に求め、仮処分を申し立てた。松本さんらは10月に来年4月までの契約更新をしてから1カ月後、11月末での契約打ち切りを告げられた。「期間従業員というだけでの解雇は、納得がいかない」。泣き寝入りする非正社員が多い中、法的手段に訴えるのは異例だ。同社は「世界不況の大波が、想像を超えていた」(広報部)。

■幅きかす「経営の論理」

 「雇用に深刻な影響が出ている。悪化のスピードが速く、早いうちに手をうたねば深みにはまる」

 4日午後、首相官邸であった「政労会見」。連合の高木剛会長は、麻生首相にこう切り出し、雇用対策本部を設けて、解雇・雇い止めで仕事や住む場所を失う労働者を支援するよう要請した。

 麻生首相も「今回は世界規模的な危機であり、普段とは違う。生活者の不安も高まっており、知恵を絞りたい」と応じた。新卒者の内定取り消しを自ら取り上げ、「ふざけている。経営者には雇用の確保につとめてもらいたいと先日も経団連に伝えた」。雇用対策に前向きな言葉を連発した。

 だが、麻生首相が1日、経団連会長の御手洗冨士夫キヤノン会長を官邸に呼び、非正規雇用の維持を求めたわずか数日後、キヤノンのカメラ生産子会社、大分キヤノン(大分県国東市)が同社で働く請負会社の従業員を年内に約1100人削減する見通しが明らかになった。政治の要請も、景気低迷から身を守る経営の論理にのみ込まれた格好だ。

 政府や与野党は雇用対策への取り組みを強めている。

 与党のプロジェクトチーム(PT)は3年間で100万人の雇用を支えるために、派遣社員を直接雇用した派遣先に最大100万円を助成するなどの対策を検討している。「支出は増えるが、ちゅうちょしている時ではない」(川崎二郎PT座長)

 民主党も2日、緊急雇用対策本部を設置し、敷金や礼金など住宅に入居するための費用や、就職活動中の生活費の支援などの対策を検討中だ。

 ただ、いずれも年内に実現する見通しは立っていない。

 派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は危機感を募らせている。「急がないと、このままでは年末には路上に大量の失業者があふれかねない」

「麻生首相では総選挙戦えない」 政権2カ月、失速状態

「麻生首相では総選挙戦えない」 政権2カ月、失速状態(朝日新聞)2008年12月2日8時3分

 麻生首相では総選挙を戦えない――。政策の迷走と相次ぐ失言などで内閣支持率が急落し、与党内でこうした見方が急速に広がっている。「選挙の顔」から「解散ができない首相」へ変わり果て、麻生政権は発足から2カ月余りで早くも失速状態に陥った。

 「2次補正を今国会に提出して、もし民主党の抵抗にあえば、解散に打って出ることもできるんじゃないか」

 11月19日夜、東京都心の帝国ホテルの一室。首相は自民党の細田博之幹事長と「腹心」の大島理森国会対策委員長を極秘に呼び、心に秘めてきた「年末年始解散」への未練をのぞかせた。

 だが、細田、大島両氏は真っ向から反対した。

 「総理、小沢の言うことに乗ってどうするんですか!」

 「本気で12月、1月に解散するというのなら、腹を固めて反対しますよ」

 「今は麻生では戦えない」という党内の懸念を2人は肌身で感じていた。無理に解散風を吹かせれば「自民党下野」が現実味を帯び、党分裂の引き金を引きかねない。解散カードをちらつかせて求心力を保ちたい首相の身勝手を許す余裕はもはやなかった。

 「本予算が4月1日からスタートできるよう全力を挙げたい」。首相は29日、小沢・民主党代表の地元・岩手県でこう語り、解散を来年度予算の成立後まで封印するしかなかった。

 それでも、失速は止まらない。1日には日本経済新聞などの世論調査で内閣支持率は31%に急落。「麻生では戦えない」ことがデータで裏付けられた。

 動揺が広がる自民党内では分裂・政界再編を見据えた動きが活発化しそうな様相だ。30日の講演で、党内若手の首相批判を牽制(けんせい)した森元首相でさえ、懸念を隠そうとしなかった。「こういう状態だと、自民党の方が自壊をして、再編成に乗らないといけないことになりかねない」

 ■支持率急落 解散封じに自民必死

 「あまり露骨に小沢代表の個人攻撃をしないでください」

 麻生首相が小沢民主党代表と初めて向き合った11月28日の党首討論を前に、自民党の大島理森国対委員長は首相にこう進言した。

 大島氏の狙いは、「解散回避」に徹するため、対決ムードを無用に高める事態を避けることにあった。首相は大島氏の「振り付け」に従い、ひたすら低姿勢で乗り切った。

 来年度予算が成立する来春まで守りに徹し、実績を積み重ねて解散の好機が訪れるのを待つ――。「忍耐」に活路を見いだすしかない、というのが党執行部の判断だ。細田博之幹事長は30日のテレビ番組で、「年末も年始も解散はありません」と完全に否定してみせた。

 党執行部が、そこまで「解散封印」にこだわるのはなぜか。今の自民党には、ちょっとした動きで結束が崩れかねない「ミシン目」が、至る所に走っている。主張がまちまちな面々がそれでも自民党にとどまっている理由は、政権与党であるからだ。

 もし、首相が解散に踏み切る姿勢を見せればどうなるか。総選挙敗北→自民党下野のシナリオは現実味を帯びる。党内の諸勢力は自らの生き残りをかけて独自路線を強め、民主党との連携を探るかもしれない。「ミシン目」が「破れ目」になる可能性が否定できないのだ。一部が離反すれば、衆院再可決に必要な「3分の2」の議席に届かなくなり、麻生政権はたちまち「ねじれ国会」で立ち往生してしまう。

 しかし、首相の解散権を縛って「守り」のシフトを敷いた反作用も出始めている。

 「あぜんとした」。日経新聞が1日に報じた世論調査に首相周辺は、言葉を失った。内閣支持率は31%で、10月末の前回調査から17ポイント急落。不支持率は19ポイント上がり62%。さらに衝撃だったのは「次の首相にふさわしい人」で、麻生氏と小沢氏が17%で並んだことだった。前回は麻生氏が36%で、小沢氏の16%を引き離していた。

 「しゃべるな、しゃべるなと、みんなが首相を抑えるからいけない」。1日の政府・自民協議会。首相側近の一人がこう訴えた。奔放な物言いが人気の秘密と考えてきた首相周辺も「党首討論は遠慮しすぎだ。まわりから萎縮(いしゅく)させられて、よくない」と党執行部の方針に異を唱える。

 首相官邸や党執行部の予想を超えた事態の進行が、政権内部に亀裂を生んでいる。ただ、首相は1日夜、支持率の急落を記者団に聞かれ、こう語るだけだった。

 「国民の批判っていうのは謙虚に受け止めなければいかんもんだと思っております」

 ■分裂・再編…「ミシン目」走る

 「ミシン目」は、中堅・若手から、幹事長経験者らベテランにまで走っている。

 「選挙管理内閣として期待された内閣だったのに、選挙も先送り、景気対策も先送りでは、求心力がなくなるに決まっている」。渡辺喜美元行革担当相は1日、記者団の前で、支持率が急落した麻生政権を批判した。

 衆院議員の任期満了まで1年を切った。渡辺氏や塩崎恭久元官房長官ら中堅・若手グループは、2次補正提出を先送りした党の方針を公然と批判している。「麻生首相では総選挙を戦えない」という危機感の裏返しだ。渡辺氏は「自民も分裂、民主も分裂して政界再編をやるのが理想型」、後藤田正純衆院議員も「今回選挙が延びたので、再編というのが選挙前にあってもいいんじゃないか」と踏み込んだ。

 若手だけではない。11月下旬には加藤紘一、山崎拓両元幹事長と小沢氏との密会が報道された。加藤氏は「自分はこの国が困難にある時、どの方向に持っていくか、交通整理をやれる人間の一人だ」と公言し、政界再編への意欲を隠さない。一方、山崎氏は地元・福岡2区で若い民主党新顔を相手に苦戦が伝えられるだけに、派閥領袖(りょうしゅう)として一定の勢力を持つ同氏に連携をにおわせて揺さぶる小沢氏側の意図も見え隠れする。

 「ミシン目」は、政権中枢にも及んでいる。

 消費増税による財政再建を重視し、官僚を重用して政策実現を図る与謝野経済財政相。官主導の政策決定システムを打破し、政治主導で経済活性化を進めようとする中川秀直元幹事長。「犬猿の仲」の2人が最近、数年ぶりにマージャン卓を囲み、「政局近し」という観測を政界に広めた。経済政策の対極に位置する両巨頭の「手打ち」は倒閣運動への布石ではないか、と受け止められたのだ。

 「政治の話は全然しなかった。でも人間は不思議なもので、やっぱり卓を囲むと少し親近感が増すみたいだ」。2人と親しい議員は「マージャン会談」をこう解説する。

 与謝野・中川両氏は小泉政権下で対立したが、ばらまき政策に批判的な面では一致する。財務省内には「与謝野氏と中川氏の主張は、景気重視の首相よりも実は近い」との見方もあるほどだ。

 ともに民主党との接点もある。与謝野氏は小沢氏と囲碁仲間で、中川氏は前原誠司副代表らと親交がある。「麻生政権が行き詰まった時点で民主党との連携を探るのでは」との観測も絶えない。中川氏に近い自民党議員は「選挙前政局」の可能性を、こう指摘する。

 「解散時期が見えない中で新党結成に動くのはリスクが高い。ただ、選挙間近になれば分からない」(鮫島浩、林尚行)

農林中金、9割減益

農林中金、9割減益 経営責任、上野理事長は「白紙」(朝日新聞)2008年11月27日

 農林中央金庫の08年9月中間決算(単体)で、保有する証券化商品や投資信託などの含み損が08年3月期の約3.7倍の1兆5737億円に膨らんだ。積極的な海外投資が金融危機に直撃された。1兆円を超す資本増強も正式発表したが、上野博史理事長は経営責任の明確化について「白紙」と述べた。

 27日に発表した。純利益は前年同期より92.5%減の104億円。連結では94.5%減の77億円。含み損の拡大で、中核的自己資本から1兆835億円が一気に差し引かれた。一方、市場が混乱している変動利付国債では、時価会計の緩和基準を適用。財務の健全性を示す自己資本比率を約1ポイント押し上げる効果があった。資産の圧縮も急いだ。

 結局、自己資本比率は08年3月期の12.55%より1.23ポイント少ない11.32%(速報値)を確保。国際ルールで課された8%を上回ったが、今後含み損が増える恐れがあるため、09年3月期にJAバンクグループから中核的自己資本を1兆円超調達する。一部を自己資本比率の計算に入れられる補完的自己資本も数千億円調達する予定だ。

 上野理事長は業績悪化について「百年に一度と言われる金融市場の混乱によるものだが、リスク管理体制で反省すべきところは反省する」と述べた。金融機能強化法改正案の審議で農林中金の取り扱いが焦点になったことについては「金庫の使命、役割に対する理解を得る努力が足りなかった」としつつ、「差別的な取り扱いを受けると、信用に影響がある」と強調した。

金融法案が年内成立

金融法案が年内成立へ 民主、採決に方針変更(東京新聞)2008年11月27日

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 河野衆院議長(中央)に会期延長の申し入れをする

 民主党の輿石東参院議員会長は27日の記者会見で、今国会が来月25日まで延長された場合、予防的な金融機関への公的資金投入を可能にする金融機能強化法改正案を会期内に参院で採決する考えを表明した。

 参院で改正案を修正、可決して衆院に回付する方向。与党は修正前の改正案を衆院で再可決し成立させる考えで、延長国会は越年せず、同日で閉幕することが確実となった。

 河村建夫官房長官は27日午後、自民、公明両党の幹事長と会談し、衆院再議決を視野に新テロ対策特別措置法改正案を成立させるため、30日までの会期を25日間延長するよう正式に要請。与党側は衆参両院議長に申し入れた。28日午後の衆院本会議で議決する。

 与党は、民主党が2008年度第2次補正予算案の提出まで金融法案の採決に応じない方針だったため、「みなし否決」を適用し衆院再議決が可能になる1月5日ごろまでの再延長も検討していた。

 民主党の輿石氏は記者会見で、民主党独自の経済対策法案を参院に近く提出する考えを示した上で「延長で舞台ができれば、民主党の法案に置き換えるのが当然だ。審議拒否をしたり、意図的な引き延ばしをすると(国民から)批判がくる」と方針変更の理由を説明した。

外資のカモ・農林中金

外資のカモ・農林中金…1兆円増資でも足りない実態(ZAKZAK)
増え続ける投資残高

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1兆円超の資本増強を実施する農林中金。公的
資金の注入は必要ないとしているが…


 1兆数千億円の巨額資本増強に踏み切る農林中央金庫。ただ、金融界では「この程度の増資では足りないのではないか。国会で審議中の金融機能強化法改正案の活用も必要になるだろう」(金融幹部)との声がもっぱらだ。麻生政権が大きく揺らぐなか、「自民党の支持基盤の1つ」(野党)とされる農林中金は正念場を迎えている。

 農林中金のサブプライム住宅ローン関連を含めた証券化商品への投資残高は9月末時点で、6兆8230億円。驚いたことに、金融危機で市場が混乱するなか、3月末と比べて7823億円も増えているのだ。

 これとは別に、2つの米住宅金融会社、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の住宅ローンを担保にした証券の保有残高が3兆4568億円ある。

 前述の証券化商品と合わせ、実に10兆2798億円もいわくつき商品に投資しているわけだ。

 米証券大手リーマン・ブラザーズが9月中旬に破綻する1週間前に、米政府はファニーメイとフレディマックに公的資金を注入する方針を発表。その後も追加支援策を打ち出し、当面の破綻を回避しているが、農林中金はいつ破裂するか分からない“時限爆弾”を抱えていることになる。

 「農林中金は約3兆円の自己資本に対し、損失が発生する恐れがある証券化商品を約10兆円も抱えている。これは、自己資本を吹き飛ばすのに十分な規模だ。“導火線”に火がつく前に、公的資金を予防的に資本注入できるようにしておこうというのが、国会で審議されている金融機能強化法改正案の狙いだ」と金融関係者は指摘する。

 農協の総元締めとされた農林中金が変ぼうするのは、2002年1月のJAバンク法の施行以降。同法施行により、農林中金、農協、信連(信用農業協同組合連合会)の個別金融機関が「JAバンク」として1つの金融機関にリニューアル。全体の運用資金110兆円、預金82兆円というメガバンクが誕生した。

 このうち、農林中金の運用資金は61.0兆円、預金は38.8兆円(08年3月末)。農協に集まった貯金82兆円のうち、33.8兆円が信連を通じて預けられている。

 「農林中金の役割は法律上、『農林水産業への資金提供』だが、衰退傾向にある農業や漁業では資金需要も低い。となれば、有価証券で運用するしかない。農林中金の有価証券投資は約44兆円に達し、貸出金の約10兆円を大きく上回っている」と関係者は解説する。

 約44兆円の有価証券投資がいかに巨大かは、他の金融機関と比べると分かる。日本生命保険の運用投資有価証券は約34兆円、三菱UFJフィナンシャル・グループは約41兆円(いずれも08年3月末)。農林中金は日生や三菱UFJをしのぐ、日本最大の機関投資家なのだ。

 「農林中金は機関投資家といっても、投資経験やノウハウはない。外資系金融機関の間では、農林中金に持っていけば、どんな証券化商品でも買ってくれるから、いいカモにされていた。サブプライム問題が表面化し、各金融機関は証券化商品の売却に走り出したが、農林中金はせっせと買い続けた。そのため、今年3月から9月までに7823億円も残高を増やしている」(金融幹部)

 農林中金は1兆円超の資本増強を実施するが、果たしてこれで足りるのだろうか。

ムーミン引退

ムーミン引退、年末年始に「さよなら列車」(朝日新聞)2008年11月13日

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 JR東日本高崎支社はこのほど、「ムーミン」の愛称で親しまれた電気機関車EF55が老朽化で引退するのに伴い、同機関車が牽引(けん・いん)する「さよなら列車」を年末年始に3本追加すると発表した。

 12月27、28日と来年1月18日で、いずれも高崎駅午前10時36分発横川行きの下り1本だけ。1月18日に運行する列車は「さよならEF55横川」と命名。文字通り最後の運転となる。全車指定で定員は512人。料金は指定料金含め990円。

 EF55は鉄道マニアの関心を集め、12月6日に運行する同列車の指定席を今月6日に発売したところ、午前10時の発売開始から数分で完売したという。問い合わせはJR高崎支社広報係(027・320・7111)へ。

すさむ世情と政治空白

【東京新聞社説】
週のはじめに考える すさむ世情と政治空白 2008年11月23日

 お尋ねします、麻生首相に。世の中ひどくすさんでいませんか。なのに政治はなすすべなく漂っていると思いませんか。流れを変える余力はお持ちか。

 ひどい事件が続きます。近くは元厚生次官宅の襲撃。犯行の動機もいまだ不明なのが不安をあおります。民主社会を脅かす卑劣な行為には、ひるまず、みんなで立ち向かわなくてはいけません。

 国民の安全と安心を何をおいても全力で守るのは、政権を担当する最高責任者の務めでありましょう。ここぞの場面でしたのに、先頭に立つべき首相のコメントには強い憤りが感じられない、と野党などから批判がでていました。

政権二カ月、滑る言葉
 あろうことか、自民党の厚相経験者からは、この凶行を招いたのは年金行政の失態を追及する野党やマスコミだ、との発言が。お門違いもいいところです。

 首相はこれを「言論の自由は誰にもある」と黙認しますか。党首として〓責(しっせき)すべきでしょう。言葉が乱れ、それが、すさむ世相に拍車をかけていませんか。航空自衛隊トップが文民統制そっちのけの危ない言動を繰り返したのも、ついこの間のことでありました。

 麻生政権が発足して二カ月になります。首相就任時の私どもの社説は首相の口から発せられる「言葉の質」に注意を喚起しています。まさかこのわずかな期間に懸念が現実になるとは、正直いって思いもしませんでした。

 お医者さんには社会的常識の欠如している人が多いとか、後で謝罪と撤回を迫られるような放言をしたり、二兆円もの巨費を投じる定額給付金をめぐって、やっかいなことは自治体で、それが地方分権でしょ、と言ったり…。

 バー通いや漢字の“読み違い”で自国の首相を自虐的に笑う風潮と私たちは一線を画します。が、この乱れようは看過できません。

解散逃げた大きなツケ
 いかにも「思いつき」みたいな言葉が滑って新たな騒動を引き起こし、そのこと自体、統治権力の「空白」を内外に印象づけます。

 来年度予算の編成で焦点の一つになる道路特定財源の使途。首相は一兆円を地方の自由になる交付税にしたいらしいのですが、それを口にしたとたん、道路にカネが回らない、と反発する自民の族議員から「首相発言は黙殺だ」の声が公然と噴き出しました。

 首相が日本郵政グループ株式の売却を「凍結した方がいい」と語れば、自民の郵政民営化勢力からすぐさま「発言訂正の要求」が飛び出します。

 どの言い分に理があるかはさておき、首相の威信が陰っているというか、重みがない。与党が首相を侮る。異様で深刻な事態です。

 なぜこうなったかを考えましょう。そもそもこの政権は、迫る総選挙の顔に麻生さんをと、自民、公明の与党が選択しての発足でした。首相がその気だったのは月刊誌に寄せた手記で明らかですし、与党幹部も認めています。

 でも世論の支持が芳しくなく、取り巻き連中は選挙先送り論。米国発の金融危機もあって衆院解散をためらい、首相は「選挙勝利が天命」の前言を翻したのでした。その大きなツケが回った、としか言いようがありません。

 すぐに選挙、のはずでしたから例えば定額給付金など性格も内容もずさんで迷走します。“緊急”経済対策で景気後退に備えると首相が記者会見までした補正予算案は、今の国会でなく年明けの次の国会で処理だと政府・与党幹部が言っています。選挙向けだったのをまるで自白しているみたいに。

 それで今の国会はどうするか。会期通りに今月末で閉じるのかというと、インド洋の給油継続法案や金融機能強化の法案が野党の抵抗で未成立のまま参院に残っているので、衆院再可決の要件を満たすまで延長らしい。

 延長国会で与党は恐らく何もしない。審議の場は迷走を野党に攻められるだけだし、来年度予算編成作業の妨げになるから。政権は保身へ傾いているのです。

 とはいえ今のご時世、予算づくりは難しい。年金や医療、社会保障のお金が足りない。借金漬け財政も限界。増税に頼るにせよ、前提になる経済の改善が一体いつになるか、見当もつきません。

 国民の信任を背にする本格政権でないと難題に取り組む資格すら疑わしい。私たちが総選挙を求めてきた理由は、これなのです。

要注意の投げやり空気
 政治の空白を心配します。このままでは政治は何も決められそうにない。ならば自分たちの一票で決めさせろと、心ある有権者が言っているのが聞こえませんか。

 人々がよりどころを失えば投げやり気分が広がって世情も一層すさみます。その先に暗い時代がくるのは嫌だから、首相に求めます。初心に戻って出直しを、と。

参院空転、再び主戦場

参院、再び主戦場 小沢氏満足 与党煮え湯(東京新聞)2008年11月19日 07時08分

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野党委員が欠席し空転した参院外交防衛委=18日、国会で

 麻生太郎首相(自民党総裁)と民主党の小沢一郎代表の党首会談が物別れに終わったことを受け、ねじれ国会の最前線となる参院審議は18日、空転状態に陥った。それぞれが相手の「国会合意」破り、「国民との公約」破りを攻撃し合う混戦状態。臨時国会終盤戦の波乱はどこまで-。

 参院で少数の与党は、再び煮え湯を飲まされることとなった。

 この日は外交防衛委員会で、インド洋での給油活動継続のための新テロ対策特別措置法(給油新法)改正案の採決、経済産業、国土交通の二委員会でも承認案件の採決が予定されていた。ほかも含めて予定されていた全六委員会の審議は完全にストップ。野党側とはすべて審議日程を合意済みだったため、与党の反発は収まらない。

 自民党の参院国対委員会は、各委員会の理事に対し、民主党に納得のいく説明を求めるよう指示したが、返ってきたのはいずれも「党の方針」との答え。

 鈴木政二参院国対委員長は記者会見で「党の方針、というたった一言で約束が破られるのなら、国会は暗黒の世界に入っていく」と民主党を強く批判した。

 与党にとっては、「ガソリン国会」と呼ばれたことし前半の通常国会で、民主党が三月までの事態収拾策について衆参両院議長のあっせんを受け入れながら、ほごにした記憶も新しい。このため自民、公明両党の参院国対委員長は十八日、江田五月参院議長を訪ね、与野党合意順守について民主党への働き掛けを求めた。しかし、江田議長は「承りました」と述べるのみ。与党側には無力感が漂った。 (清水俊介)

◆会期延長狙い通り

 「麻生首相は、しっかり経済対策をやるということで、選挙を先送りした。国民との公約は大変大事だ」

 民主党の小沢一郎代表は党役員会で、二次補正予算案提出を迫った党首会談の内容を説明。首相の姿勢を厳しく批判するなど約二十分間にわたり熱弁を振るった。出席した幹部によると「いつになくご機嫌だった」という。

 今のところ、国会攻防は小沢氏の狙い通りに。給油新法改正案採決を拒否したことで、政府・与党は、臨時国会の会期延長をせざるを得ない状況に追い込まれている。

 いったん合意した採決日程を覆したことへの批判もあるが、山岡賢次国対委員長は党代議士会で「国民の生活を守る方が重要だ。国民サイドに立った国会の進め方をしなければならない」と述べ、気勢を上げた。

 ただ、野党四党国対委員長会談では、社民、国民新両党が民主党の方針を基本的に了承したものの、共産党は反対。社民党内などにも「理屈が通らない」との声がある。

 また、民主党はこの日、衆院側では審議に応じ、衆参バラバラの対応になった。参院民主党側には「衆参両方で審議を止めるべきだ」(幹部)との不満もくすぶっている。このため小沢氏は、輿石東参院議員会長らを訪ね「苦労をかける」とねぎらうなど、沈静化に躍起だ。 (西川裕二)

(東京新聞)

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